1級設備保全の基礎 レッスン5
信頼性工学の基礎(バスタブ曲線・フェールセーフ・冗長化)
故障率の時間変化と「安全な壊れ方」を設計する考え方
出題範囲信頼性・保全性(バスタブ曲線・冗長化・フェールセーフ)詳細
故障率は時間とともに変わる ― バスタブ曲線
設備や部品の単位時間あたりの故障率は、使い始めから廃却まで一定ではありません。横軸に時間、縦軸に故障率をとると『初期は高く → いったん下がって低く安定し → 末期にまた上がる』というU字(浴槽)型になります。これがバスタブ曲線で、3つの期間に分けて対策を変えます。
バスタブ曲線の3期間
- 初期故障期(DFR:故障率が減少)
- 製造不良・設計ミス・据付不良・初期なじみ不足などにより、使い始めに故障が多い時期。『デバッグ運転(慣らし運転)』『初期流動管理』『受入検査』で早期につぶす。
- 偶発故障期(CFR:故障率がほぼ一定)
- 弱点が出尽くし、故障が偶然・ランダムに起きる安定期。設備の本来の使用期間。日常の自主保全・予防保全で良好な状態を維持する。突発故障対策・予知保全が中心。
- 摩耗故障期(IFR:故障率が増加)
- 摩耗・疲労・劣化が進み、寿命が近づいて故障が増える時期。寿命前の計画的な部品交換(TBM)・オーバーホール・更新で乗り切る。
「安全に壊れる」設計 ― フォールトトレランスの考え方
- ●フェールセーフ(fail-safe):故障したとき『安全な側』に状態が落ち着くようにする設計(例:信号機が故障したら全方向赤、ブレーキ系の故障で制動がかかる)
- ●フールプルーフ(foolproof/ポカヨケ):人が誤った操作・取付をしようとしてもできない/受け付けない仕組み(例:扉を閉めないと起動しない、向きを間違えると入らないコネクタ)
- ●冗長化(リダンダンシー):同じ機能の系統を複数用意し、1系統が壊れても機能を維持(並列冗長・待機冗長)
- ●フェールソフト(fail-soft):一部が壊れても全停止せず、性能を落としてでも運転を続ける(縮退運転)
用語の整理
| 用語 | ねらい | 例 |
|---|---|---|
| フェールセーフ | 故障時に安全側へ | 停電時に自動で閉じる(または開く)安全弁、デッドマンスイッチ |
| フールプルーフ | 誤操作・誤組付けを物理的に防ぐ | 両手押しボタン、形状の違うコネクタ、安全カバーのインターロック |
| 冗長化 | 故障しても機能を継続 | 二重化したポンプ・電源、予備機の自動切替 |
| フェールソフト | 故障しても全停止しない | 一部ライン停止で残りは縮退運転、サーバの一部故障で性能低下のみ |
間違えやすい点
バスタブ曲線の3期間は『初期故障期(減少)→ 偶発故障期(一定)→ 摩耗故障期(増加)』の順。途中に“回復期”はありません。『フェールセーフ=故障時に安全側』『フールプルーフ=誤操作・誤組付けの防止(ポカヨケ)』を取り違えないこと。冗長化は信頼性を上げますがコストが増えます。
理解度チェック
確認クイズ
Q1.バスタブ曲線の3つの期間を、時間順に正しく並べたものは?
Q2.「故障したときに安全な側の状態に落ち着くように設計する」考え方を何といいますか?
Q3.バスタブ曲線の「偶発故障期」における保全の考え方として適切なのは?