1級設備保全の基礎 レッスン4

設備診断技術の実際(振動・温度・潤滑油・傾向管理)

代表的な診断手法と「異常の兆候の見つけ方」を具体的に理解する

出題範囲設備診断技術(振動診断・サーモグラフィ・傾向管理)詳細

設備診断技術の役割

設備診断技術は、人間の五感では捉えにくい劣化の進行を計測機器で『定量的に・早期に』つかむための技術で、CBM(状態基準保全)の土台です。代表は回転機械の不具合に強い『振動診断』、電気・軸受の過熱を面でとらえる『温度(サーモグラフィ)診断』、油の汚れから設備内部を推し量る『潤滑油診断』。これらを定期測定して時系列で追うのが『傾向管理』です。

代表的な診断技術と分かること

技術主な対象測る量見つかる異常の例
振動診断モータ・ポンプ・送風機・軸受・歯車振動の加速度・速度・変位、周波数スペクトルアンバランス、ミスアライメント、軸受の傷、歯車摩耗、ゆるみ
温度(サーモグラフィ)診断電気盤・端子・軸受・配管・断熱材赤外線による表面温度の分布端子のゆるみ・接触不良、軸受の過熱、断熱劣化、詰まり
潤滑油(オイル)診断歯車箱・油圧装置・エンジン金属摩耗粉の量・大きさ、水分、粘度、酸価、汚染度歯車・軸受の異常摩耗、シール不良(水・異物混入)、油の劣化
音響(超音波)診断圧縮空気・ガス配管、軸受、ベアリング可聴音・超音波エアリーク、初期の軸受不良、放電(コロナ)

判定の考え方

傾向管理(トレンド管理)
同じ箇所を一定間隔で測り、測定値の『時間変化』を見る。値が右肩上がりに増え始めたら劣化進行のサイン。絶対値だけでなく“変化の傾き”が重要。
絶対判定基準
ISO等で定められた『この値を超えたら異常』という共通のしきい値で判定する方法。
相対判定基準
その設備の正常時(初期値)を基準に、『初期の◯倍になったら異常』のように個別に判定する方法。
周波数分析(FFT)
振動を周波数成分に分解し、どの部位(回転数の何倍の成分か等)に異常があるかを特定する手法。

現場で押さえるポイント

  • 毎回『同じ場所・同じ条件(回転数・負荷)・同じセンサー向き』で測る ― 条件が変わると比較できない
  • 1回の値で慌てず、傾向(トレンド)で判断する
  • サーモグラフィは反射・距離・放射率の影響を受けるので、撮影条件をそろえる
  • 潤滑油はサンプリング箇所と採取方法を統一し、外部からの汚染を持ち込まない
  • 異常の兆候が出たら、計画保全部門と連携して整備時期を前倒し・計画化する

間違えやすい点

振動診断は主に『回転機械』向け、温度(サーモグラフィ)診断は『電気設備や軸受などの過熱』向け、と対象が違います。診断の基本は“1回きりの絶対値”より“傾向管理(変化の傾き)”であること、また測定条件を毎回そろえないとデータが比較できないことを取り違えないように。

理解度チェック

確認クイズ

Q1.回転機械(モータ・ポンプ等)のアンバランスや軸受の傷を早期に発見するのに最も適した診断技術は?

Q2.電気盤の端子のゆるみや接触不良による発熱を、設備を止めずに面でとらえるのに適した技術は?

Q3.設備診断における「傾向管理」の考え方として正しいのは?