2級設備保全の基礎 レッスン7

油圧の基礎(パスカルの原理)

油の圧力で大きな力を出すしくみ — パスカルの原理と油圧回路の構成

出題範囲油圧(パスカルの原理・ポンプ・弁・作動油)詳細

油圧とは

油圧機器は、ポンプで油に圧力をかけ、その圧力で大きな力をなめらかに出すしくみです。プレス、射出成形機、建設機械、工作機械の送りなどに使われます。小さな装置で非常に大きな力が出せ、力の制御がしやすい一方、油漏れ・発熱・異物に弱く、扱いには注意が必要です。

パスカルの原理

密閉した容器の中の液体に加えた圧力は、その大きさを変えずに液体のすべての部分に伝わる。

力(F)= 圧力(P)× 受圧面積(A)

つまり、小さなピストン(面積小)に小さな力を加えても、大きなピストン(面積大)には面積の比だけ拡大された大きな力が出ます(てこと同じく、移動量は逆に小さくなります)。これが油圧で大きな力を生み出す原理です。

例:圧力 10 MPa(=10 N/mm²)を、受圧面積 2000 mm² のシリンダに作用させると、F = 10 × 2000 = 20000 N(約 2 t 相当)の力が出る。

油圧回路の主な構成要素

油圧ポンプ+電動機
電動機でポンプを回し、タンクの油を吸って吐出する。圧力ではなく「流量」を作る源(圧力は負荷で決まる)。
リリーフ弁(安全弁)
回路の圧力が設定値を超えたら油をタンクへ逃がし、最高圧力を制限する。回路の安全を守る最重要部品。
方向制御弁(電磁切換弁)
油の流れる向きを切り替え、シリンダの前進・後退・停止を決める。
流量制御弁(絞り弁)
油の流れる量を絞ってアクチュエータの速度を調整する。
アクチュエータ(油圧シリンダ・油圧モータ)
油の圧力エネルギーを直線運動(シリンダ)や回転運動(モータ)に変えて仕事をする。
油タンク・フィルタ・クーラ
油をためて空気・ゴミ・熱を抜く。フィルタで異物を除去し、クーラで油温を適正に保つ。

日常点検のポイント

  • 油量 … タンクの油面計で上限・下限の範囲内か(運転前・停止後で見方を統一)
  • 油温 … 高温(一般に60℃前後を超え続けるなど)になっていないか。発熱は劣化を早める
  • 油の汚れ … 色の濁り、白濁(水分混入)、異物・気泡がないか
  • 圧力 … 圧力計が規定値か。フィルタの目詰まり表示(インジケータ)が出ていないか
  • 漏れ … 配管継手・シリンダ・バルブからのにじみ・漏れ。漏れは火災・転倒・環境汚染の原因

注意

油圧回路には高い圧力が残っているため、配管を外す前は必ずポンプを止め、圧力を抜いてから作業します。高圧の油の噴き出しは皮膚に入り込むなど重大なけがにつながります。作動油は引火するので火気厳禁、こぼれた油は滑って転倒の原因になるためすぐ拭き取り、廃油は環境ルールどおりに処理します。

理解度チェック

確認クイズ

Q1.パスカルの原理の説明として正しいものはどれか。

Q2.油圧回路で「圧力が設定値を超えたら油をタンクへ逃がし、最高圧力を制限する」部品はどれか。

Q3.圧力10MPa(=10N/mm²)を受圧面積1500mm²のシリンダに作用させたとき、出る力はおよそいくらか。