FMEAとFTAの位置づけ
どちらも設備・製品の信頼性を高める解析手法ですが、考える向きが逆です。FMEA(故障モード・影響解析)は『部品・工程ごとに、もし故障したら何が起きるか』を一つひとつ積み上げて評価するボトムアップ手法。FTA(故障の木解析)は『この重大事象(トップ事象)はどんな組み合わせで起きるか』を上から論理的に分解していくトップダウン手法です。
FMEAとFTAの比較
| 観点 | FMEA | FTA |
|---|---|---|
| 方向 | ボトムアップ(部品 → 影響) | トップダウン(重大事象 → 原因) |
| 出発点 | 個々の部品・工程の故障モード | 1つの好ましくないトップ事象 |
| 表現 | 表(ワークシート) | 故障の木(ANDゲート・ORゲートのツリー) |
| 評価 | RPN = 影響度 × 発生度 × 検出難易度 | トップ事象の発生確率、最小カットセット |
| 得意なこと | 弱点部位の網羅的な洗い出し・優先順位づけ | 重大事故の原因の組み合わせ・経路の特定 |
FMEAのリスク優先数(RPN)
RPN(Risk Priority Number)= S(影響度/Severity)× O(発生度/Occurrence)× D(検出度=見つけにくさ/Detection) 各項目を1〜10で点数化(数字が大きいほど悪い)。RPNが大きい故障モードから優先的に対策する。 【例】S=8、O=3、D=6 → RPN = 8 × 3 × 6 = 144
関連用語
- 故障モード
- 部品・工程の壊れ方の様式(断線・摩耗・固着・漏れ・ゆるみ など)。FMEAの分析単位。
- ANDゲート
- FTAで、下位事象が『すべて同時に』起きたとき上位事象が発生する論理ゲート(直列冗長に強い)。
- ORゲート
- FTAで、下位事象の『いずれか1つ』が起きれば上位事象が発生する論理ゲート。
- 最小カットセット
- FTAで、それが揃えばトップ事象が起きてしまう最小の基本事象の組み合わせ。重点対策箇所になる。
間違えやすい点
FMEA=ボトムアップ、FTA=トップダウン、を取り違えないこと。RPNは『影響度+発生度+検出度』の足し算ではなく『掛け算(S×O×D)』です。また検出度Dは“見つけやすさ”ではなく“見つけにくさ”で、見つけにくいほど点数が高い点に注意。
理解度チェック
確認クイズ
Q1.FMEAとFTAの分析の向きの組み合わせとして正しいのは?
Q2.FMEAのリスク優先数(RPN)の計算式は?
Q3.FTAで、下位の事象が『いずれか1つでも』起これば上位事象が発生することを表すのは?